日本人形が告げた悲しみ


仕事を終わり家にたどり着いた私に娘と、当時少し事情があり、お預かりしてました娘さんが青い顔で
家の中から裸足で飛び出して来ました。


娘さんの事をこれよりA、娘をりちぁと仮名、および敬称略とさせて頂きます。


Aは、霊感体質者の中でも飛びぬけて強い方で、その為に婚家先との折り合いが悪く、子供2人をおいて
離縁した経験の持ち主でした。


Aが嫁いだ先の誰もが神様み仏様・霊を信じる人達では無く、A以外の何方も霊の姿はおろか気配さえ
感じた事さえ無い人ばかりで、Aが何度異常を訴えても 「お前が可笑しい」と取り合ってくれなかった。
思い余ったAが紹介者を通じて拙宅へ参りました。


Aに会った時、私は「ああ、これは]と感じさせる程の霊感体質の持ち主でした。


家から飛び出して来たAは、錯乱状態に近く喚く様に「先生、人形が人形が!」と叫んでいたので
りちぁに「Aちゃんは一体どうしたの?」と、聞くと


「学校から帰って来たら、全然知らないお姉さんが、門の所に人形を持って立っていたの。それで私が
何方ですか」と、聞くと「先生は居ますか?」と、りちぁに聞いたそうです。


りちぁは「お母さんは仕事でいませんが何かご用ですか?」と聞き返しますとその子は「私の家で
前から変な事が起こっていて、お母さんが見て貰って来てと言うので持って来たんです。」と、娘に、
りちぁ、中で待って貰う事にしたと。


その時、Aは外出して居なかったそうです。見知らぬお姉さんを家に居れてすぐ、Aが帰ってきて


人形をひと目みるなり「何なんこれ!早くどけてー!何してんのあんた早よう持って帰ってや!」と
その子に向かって、気が狂った様に喚き出したので、りちぁは

人形を持って来た子に「お母さんは何時帰ってくるか分かりません。電話番号を教えてください。
母にかけて貰うように伝えます」と


その子が人形を置いたまま帰ろうとしたので、Aが「あんたこれ持って帰りや!何で置いていくん!」と
怒鳴りだしたら、何もも言わないで、家の電話番号を紙に書いて娘に渡して帰って行った経過を2人から
聞いた私は、女の子が置いて行った電話番号にかけて事情を尋ねると共に・・・


当方ご紹介制です。ご紹介がある方でも皆さま予約制です。あなたを知りません。私が居ない時に勝手な
ことをして貰っては困りますとお話して、改めて正式にご依頼をお受けさせて頂き、受話器を下ろした途端、


左手が肘の所から急に動かなくなると同時に、物凄い痛みが襲って来て、見るまに紫色に腫上がり、指が
動かなくなった・・・


それを目の前にしたAは、青い顔をして「だから嫌やったんやわ!やっぱり何か変な物が憑いてたんやわ」
半狂乱になり、りちぁは「お母さん大丈夫」と、心配そうに覗き込んでいたので「心配せんでも良いよ」と


再度、受話器をあげようとしたのですが持ち上げることが出来ず、側で見ていた娘がかけてくれた始末に。


「先ほどはどうも。少し聞きたい事が有るんですが、その人形の左の腕が痛んでるか折れてないかな?」と
尋ねると「はい折れています。何で分かったんですか?」と聞いて来られたので


「電話を切った直後、左腕が痛く腫上がったの」と、訳をお話させていただき、すぐ人形を持って来るように
伝えると、「すぐに伺わせて頂きます」と、問題の人形を持ち家にやって参りました。

門題の人形は粋な芸者姿で、目がガラス玉で細工されて、三味線を抱えた人形で高さ約37、8センチぐらいの
日本人形でした。


人形を抱えて依頼者が来られた時、家の内に寒気が走った。「あなた、仏さんを連れて来たな」と言いますと
彼女は、きょとんとした顔で不思議そうなしながら部屋の中へ。


人形の霊視を始めると目の前に、お婆さんが映りました。理由が解けました。
亡くなられたお婆さん、喉が乾いて、お腹がすいて堪らない事を言葉で伝える事が出来なかった・・・
人形を使って「お水が欲しい。お腹が空いている何か食べる物を供えて」と、通信をしていたのです。


しかし誰も気付いてくれなかった。


ご依頼者の家は仏壇とは名ばかり、ご先祖さんや水子に何回忌どころか、お水・お茶の一杯も供ええいなかった。


ご依頼者に理由をお話して理解をして頂き、人形に宿っていたお婆さんに挨拶させて頂くと左腕の腫れと痛みが
嘘の様に取れました。


私の腫上がっていた部分が消えていくのを目の前で見られた御依頼者は、深く頭をたれた後に、正座しなおして


「先生、知らない事とは言いながら、本当に先祖さんや水子に対して悪い事をしました。これから気をつけます。
ちゃんとすれば、今まで起きていた小さな事故や争いごとが無くなりますか?」と尋ねて参りました。


良い日にちに、日本人形を人形寺に収めることと、心から亡くされた方の冥福を祈る事。


今まで長い間、供養ごとをほったらかしていた。ですから全てが今すぐ解決しないだろうと思いますが、スムーズに
運ぶ可能性が大であること。徐々に上向いて来ると思います。とお話しますと、頑張りますと言って帰られました。


後日談


数年してから偶然このご依頼者とあるスーパーの中で出会いました。以前とはうってかわった様子のご依頼者は
お店の中にも関わらず

「あの時はお世話になりました。今はお店をしています。生活も前より楽になりました。」と話して下さったので
一安心致しました。


ガラスケースに入っている日本人形を見た時、りちぁは全身に異様な気配を感じて、一瞬ぞっとしたと同時に
涙が出て来た・・・


そしてそのお姉さんの目が死んだ魚のような目をしていたのに、人形が生き生きしていたのが怖かったと・・・


霊は、黄泉の世界で苦しくても、現世の人に伝える事が出来ない為、非常手段として、時には物を使って
知らせたり、制作者の思いが入る事もございます。



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