忍ヶ丘の狸行列

このお話は大阪府のとある古い屋敷に起きた本当にあった心霊現象です。


ある夏の昼下がり。仕事が一件落着。家に辿りついた。疲れて眠っていたらしく夢の中に入り込んでいました。


普段「神仏様」中でも観世音菩薩様、一休禅師さまにご守護、ご加護を頂いているのか、邪悪なものは
一切受けないのですが、その日はそれまで一度もかかった事が無い金縛りに遭遇したのです。


その時、何故か北枕で寝転んでいた事に、後になって気がつきました。★金縛りこれが初めてで、この日
以後一度もありません。


夢の中に・・・一軒の家が出てきました。

かなり大きな家で、周りを低い白壁で囲み、塀の上に瓦を載せ木の門の内側に小さな祠を奉っていました。


「ここどこなんやろ、何で私がここに?」と、思った瞬間!くるっと場面が変り、家の中に立っていた。


真ん中に廊下、左にダイニングキッチンがあり、窓ガラス一面小さな星を散らしたガラス窓から淡い光が
射し込んでいた。


右の部屋を見ると、右隅に仏壇と床の間があり、掛け軸が掛かっていた。ふっと目まいがして、何かに
引かれるように廊下に目が向いた。その時、玄関の方から黒っぽいモヤが漂い集まりながら形を作り出した。


靄は漂いながら徐々に形を現した。腰から上の40歳代ぐらいの男性で、はっきり見えた途端、スーと
空中を滑るような感じで近よってきた。

顔を見ると真っ青な顔で目が無く、ぽかっとあいた暗い穴のような目でじいーと私の方を見ている。
首が変な形に曲がり、唇からは「血」を流し、口は何か話したしそうに唇が震え動いていた。


「何か言いたいの?何が言いたいの!」と尋ねたら


彼はスーと滑るように動きながら、前を通り過ぎる時、穴の空いたうつろな目。何とも表現し難い
悲しそうな目でこちらを「じろっ」と見た後、彼自身が居たたまれないような顔をして仏壇の前に。


此方を恨めしそうな目で見るばかり・・・その時何故か急にからだが動かなくなった。少しずつ私の方へ
にじり寄ってくる。逃げようにも、体が動かない。思わず「こんといて!あっちに行って!」と夢の中で
叫んでいた自分の声で目が覚めた。


全身に冷や汗をかき息苦しい。「ああ、これが皆んなの言う金縛りなんだ」経験して初めて分かった。


部屋の中は昼下がりだと言うのに、薄暗く静けさと、異常な寒さが漂っていた。小刻みに体が震え始めた。
裸足で前の家に駆け込んだ。


「真っ青な顔してどうしたん」「今家によう帰れんわ、ちょっと居させて」と、Kさんに「今、こんな夢見て金縛りに
かかってな」と、夢の中の出来事をKさんに話したら

「金縛りに?可笑しいなぁ。そんなん初めてと違います?よっぽど凄い夢やったんやね、そやけど前にも夢で
見た人が来た事があったやん。又、そんな人が来るんと違うん」と、あっけらかんとした顔でKさんが私に言った。


夢の中で後日来られる方の事を見せて頂く事があったので「そうかも知れんなあ」と言いながら家に帰った。


そんな話を忘れた頃に一本の電話が...「先生、急いで見て欲しい人が」「どこの人?」と尋ねるとご依頼者方の
住まいが、それ程遠くなかったので「この日に連れてきて」と、紹介者に日にちを告げたのです。


予約日にご紹介者と一緒に見えられた時、異常な寒けを感じた。「あなた、仏サン連れて来たな、後ろを見てみ
後ろにおるやないの」と、言いながら御依頼者の後ろをのぞき込んだ瞬間・・・

夢の中に出てきた青白い目のない顔がにゅっと。思わず息をのんだ。


ご相談者にご依頼内容を尋ねると


「実は以前から夜になると、人が歩きまわるヒタヒタした音や、玄関の戸が開く音がしたり、外から帰った時に、
今の今まで誰かが居たような気配が度々あって、夜もおちおち眠られへんのです。娘も同じ事を言っています。


家の中に入ると背中にぞくっとした寒気が走る。家の中に居るのが怖くて、他で見てもろうたんですが、はっきり言うて
くれしません。」


私は「うん?今の話何処かで見たか聞いた話やなぁ?」依頼者に「もしかして貴方の家ってこんなんじゃない?」と
以前疲れていた時に夢の中で見た風景を話した所、ご依頼者は「先生、家に来た事があるのですか?」と、聞いて
来られた。


私は「そうじゃないの。前に夢に出てきたんよ」と、伝えると御依頼者に「えっ!」と驚いた顔をされた。


「あのね私が疲れていたので、観音様と一休禅師さまが夢の中で先に知らせてくれたんよ」こんなやり取りの後、
霊視をはじめた・・・


「男の人が三差路で事故に遇いうつぶせになっている姿が見える..」と、相談者に。「それ主人です。実は三差路の所で
ひき逃げに遇ったんです」と突然泣き出した。


ご依頼者を慰めつつ霊視を続行中、変な動物がと思ったら狸が行列を作って山の方角へ「なんで狸が?」と尋ねると。
家には昔から言い伝えで「お狸様をお奉りしてます」との答えが返ってきました。


「門の所にある祠ね。貴方達ちゃんとお供えして手を合わせてる?」と尋ねると、「あんまり、してません」との答えが。

手あわせなあかんよ、昔ご先祖さんが危ない所を助けてもらってるんよと御伝えしますと「主人の事故とも何か関係が
ありますかと。


ご依頼者に「全然関係がないとは言い切られへん、こんな事が起きる前に、間をおいて何らかのサインがちょこちょこ
遇ったはずやけど、あなた達が気がついてないだけやと思います」と、お話したら


「そういえば小さい事故が2・3回ありました」と。「気をつけてと、サインを送ってくれてたんやで」とお話させて
いただき、このケースの場合は、直接現地へ出向く必要がありますす。と説明.....日時を決めてご依頼者宅へ。


祠にご依頼者と今までのお詫びと陰からお守り下さった、感謝をさせて頂き、家の周囲.土地と家の霊査を行なった後
突然の事故で亡くなられた御主人のご供養(ご依頼者宅の宗教に則った正式な方法)を進言させて頂ました。


家の中で起きた出来事、常識では、とても理解出来ない事柄・・・後日依頼者の電話にて「家の中の空気が軽くなりました。
ありがとうございました」とご連絡が。「お幸せに」と、ご依頼者の今後の無事を祈らずにはいられませんでした。


霊に相対する際、「同情」とは異なる”慈愛・慈悲・情け”だけはどんな時にも忘れた事は御座いません。


現世で迷い苦しむ”霊”が可哀想で御供養させて頂く際、早く楽になってね。と心から一心に念じております。


今回夢の中とは言え、物心ついてから初めて金縛りに会いました。浮かばれない霊に対して可哀相だと思いこそすれ
怖いと思った事は一度もありませんでした。


当方にとって霊は友だちの範疇ですが、不気味な顔は今でもぞっとする時があります。職業がら上記の様な現象に
遇う事もございます。ちなみに、物心が付いてから金縛りにかかったのは、この時が初めてで以後一度もありません。


全ての霊位に合掌


本当に起きた心霊現象へ


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