生霊。愛と言う名の生き霊【前編】心霊現象


このお話は、心霊写真にも関係して参ります。長編ですので、一話と二話の2回に分けて掲載させて頂きました。


初めに。


念。人の想いの全てがこの様な形で現われる訳ではありません。このお話は特殊な例である事をお断りさせて頂きます。
プライバシー保護の為、人物は仮名にて掲載させて頂いております。


娘が幼い頃はマンション住いで、裏手の柵に小さな看板をかけていました。久しぶりの休日をまだ幼かった娘と
他愛も無い話をしながら過ごしていたある日、突然チャイムが。


今ごろ誰だろうと思いながらドアーを開けると、20代の青い顔をした青年が「済みません裏の看板を見てきました。
突然で済みませんが、今からお願いできないでしょうか。」と飛び込みで依頼して参りました。


普段 娘と遊んであげる事が出来なかった私たち親子に取って貴重な一時でした。一瞬困ったなぁと思ったのですが
余りにも青い顔で、何処か追いつめられた様子だったので、ほおって置く事も出来ず、立ち話も何ですから、どうぞ
上がって下さいと、部屋に請じると突然畳に両手を突いて「助けて下さい。僕はAと言います。」


実は今日、自殺しょうと車であちこち走ったのですが、どうしても死にきれず、うろうろしている時に何時も
通っていた道の看板を思い出し、とにかく行って頼んで見ようと思ったのですと話し出した。


これより先、お名前をAと呼び表し敬称略とさせていただきます。


Aの話を聞きながら落ち着かせようと、お茶の支度をしながら何気なく、Aを見たらAの横に何時の間にか
一人の女性が寄り添うように座っていた。


あなた誰を連れて来たの?と訊ねると「えっ僕一人ですが」と。


「今、貴方の横に座っている女の人は誰なの?ほら其処に座っているじぁない」と、Aの横手を指差すと、自分の
横を見て「誰もいませんが」と、答えた。


貴方の横に座っている人は誰なのかな?顔はどちらか言うと丸顔で、昔で言えば、トランジスターグラマー見たいな
体つきの女性よ、ほら其処に」と、Aの横を指差すと


Aは真っ青な顔をして後ずさりをしながら、えっ!彼女が居るんですか。その人が原因で自殺しようと思ったんですと
怖そうに辺りを見回すと、彼女まだ此処に居るんですか?僕には見えないのですが、人相体型が彼女そっくりです。


彼女が何故ここにいるのか分かりませんと、彼女のこと、アパートの一部屋で起きた現象を話し出した。


彼女の国籍が台湾であること、内縁の夫が居たことを知らずに肉体関係を持った。その後、内縁のご主人が居た事を
知ったのですが、その時には本当に彼女が好きになり、毎日のように会わずには居られなくなっていた事。


楽しい時間が過ぎて行く中、付き合っている事をご主人に知られてしまい、顔が腫れ上がった彼女が逃げてきた事も
あります。一旦帰るように彼女を説得し帰した。


彼女から電話番号を聞き出したのか、お前は学生なのに一体どう言う積もりで人の嫁に手を出したんや!この責任どう
取ってくれるんやと、電話が昼夜を問わずかかりノイローゼ状態になった。


彼女と連絡が取れなくなり心配していた、ある日の深夜。 アパートの廊下を「ひた、ひた・・ひた、ひた」と、歩く
足音が。


その足音は部屋の前まで来るとふっと聞こえ無くなった。と同時に部屋のドアをトン、トントンとノックする音が聞こえた。


こんな時間に誰だろう。彼女が来たのかなと、ドアを開けると誰も居ない。可笑しいなぁとドアーを閉めた。
そんな不思議な事が幾度も起きていたある日の深夜、又、足音が聞こえた。


今までと違ってその日は何故か背中に「ぞくっ!」とした悪寒が走り、体が急に冷えたと思ったら起きているのに体が
動かなくなるような状態に陥った。


意識だけは失わずに済んだが、とにかく此処に居たら危ないと感じたAは、無我夢中で深夜の戸外に逃げた。
部屋に居ても電話は鳴りっぱなし。


深夜の不気味な足音ドアーを叩く音。気味悪くて部屋にも居られず終日外をうろうろして居た日々が続いたここ数週間


そんな状態が続いていたある日、Aの帰りをアパートの前で待ち伏せていたご主人に捕まり、家庭を破壊させたのはお前だ!
責任を取れ、慰謝料を貰うぞ!このままで済むと思ったら大きな間違いだ、お前が払えないなら親に言うぞと、強硬な態度で
迫る彼女の内縁の夫。


何とかします。済みませんでしたと、平謝りに謝り、その日は帰って貰ったが、その後も毎日の様に俺の気持ちはどうして
くれる。逃げる気か!払わんか!と連日電話がかかりどう対処したら良いのか考えようとすると頭が痛くなり どうしょう
どうしょうと思っている内に、ノイローゼ状態に陥り生きているのが嫌になった。


大学2回生で親がいるが厳格な親なので相談出来ず、どうして良いのか分からなくなり自殺しようとアパートを出て来たと。


逃げたい・死にたい・死んでしまいたいと、車で死に場所を探していたが、場所が見つからずうろうろしてしていた時、学校へ
通う途中のマンションの裏にかかっていた看板を何となく横目で見ながら通っていた事を思い出した。


とにかく相談して見よう、死ぬのはそれからでも遅くないと思い尋ねました。


何故横に彼女が居るのか、深夜の足音、ドアーを叩く音。家族の中で、自分だけ意志が弱いのは、性格的に意志薄弱なのかを
知りたいです。お願いしますと言う、Aの顔は追い込まれた人が持つ思いつめた必至さが表れていました。


Aの件は、人の命にも関わる重大な内容なので無下にも出来ず、久しぶりに遊んで貰えると楽しみにしていた、まだ
幼かった娘に悪いなと一瞬思ったけれど、お受けさせて頂き、霊視をはじめると


眼の前に、お地蔵さまと田んぼが視えた。あれ?これは田舎の風景だな?どこだろうと思った瞬間、場面がくるっと変わり
武家時代に溯って(さかのぼって)いた。


映画で見た奥方様や大奥の女性が着ている様な打掛を羽織り、着物を着た大きなお腹をした奥方様らしき人物が、侍女を
連れて、田んぼの中に逃れるような格好で出て来ました。


その後を追う様に足軽と雑兵が追いかけて来て、周りを取り囲み口々に何か叫んでいる様子が眼に映った・・・


また場面が変わり、お地蔵様と山の中のお墓が。上部が五、六角形に尖っている墓石。


変な形をしたお墓やなぁ?と思いながらAに、家から見てそう遠くない所にお地蔵さまが奉って無いかなと、A家の方角から
ご地蔵様と田んぼまでの道順を辿りながらお地蔵さまのある場所を伝えると


あります。お地蔵さまは昔からあって、土地の人は子持ち地蔵と呼んでいます。


子持ち地蔵は、戦国時代に出城を攻めれ、お城から脱出した奥方様のお腹に子供が居て雑兵に犯されそうになり 短刀で
自刃したのを可哀相に思った村人たちがお地蔵さまを建てたと聞いた事があります。


そのことと僕に関係があるのでしょうか?と霊視中に問うて来られたので、貴方のご先祖さまって武士の出じぁ無いかな。
それと変な形をしたお墓が出て来るわよ。


貴方の家、もしかして改宗していないかなと聞くと、Aは吃驚したような顔で、そうです。先祖は武士でした。


改宗って何ですか?と、改宗の意味が理解できなかったので、改宗の意味を説明。


Aは、お祖父さんの代か曾お祖父さんの代に、OOに変えたそうです。僕は、そんな風に聞いていますと答えた。
彼はその後で、お地蔵様とお墓が僕に関係しているんですか?と尋ねて参りました。


お墓ですが、貴方のお家は先祖代々から続いて来た宗派を変える際、先祖さんにお断りされた上で改宗していないし
お墓も建て替える時や改宗される際、先にしなければならない事が有ります。


喩え話ですが、貴方だって今住んで居る部屋を理由も無く出ていけと言われたら、何でどうしてと聞きたいし、文句の
一つも言いたくなるでしょう。


それと同じで亡くなった方の事を仏様(霊)と言いますが、霊も同じです。口が聞けないだけです。


改宗の際、先にお話しお断りさせて貰った上で、すべき事をして置かないと後に現実では考えられない超常現象が起る事が
ある事をHに話し、この問題はH一人の手に負えるような内容では無いこと。


彼女の事、今回起きた出来事をご両親に話して理解して頂く必要性が有ります。あんたの未来にも繋がる大事な事です。


お地蔵様に手を合わせて下さい。お地蔵様は、今迄貴方を陰ながら守って下さって居られたと思います。私の眼に映った
視え方で分かりますのでと伝えました。


彼女、貴方に逢いたい顔を見たい。何時も一緒に居たいと言う思いが普通の人よりも異常とも言える程強すぎる人なんです。
彼女の思いと思い込みの激しさが念となり、現象として私に視えただけなのです。


全ての人の強い思いがこうなる訳ではありませんから誤解しないで下さい。珍しい現象で、このケースは、特殊なんです。


人の思いは時に想像すら出来ないぐらい深い物も中にはあると言う事だけは覚えて置いてね。


人の強い思いが念と言う形になる不思議な現象だと、長年この職業に就いて居る私でも唖然とする事があるんですと話しますと
Aは俯いたまま暫くうな垂れていました。※俯く=うつむく


やがて顔を上げたAはそんな事もあるんですね、今回色々な不思議な経験をしたから理解出来るんですが、先生 今こんな事を
言うと言い訳に聞こえるかも分かりませんが、あの時の僕の気持ちに嘘は有りませんでした。


彼女を好きだったのは本当だったんです。彼女が最初にご主人が居る事を打ち明けてくれていたらと思うと残念な思いで一杯ですと。

貴方の人生はこれからです。今度の事は良い経験をしたと思ってやり直せば良いのです。ご主人との話し合いに貴方が出ない方が
良いと思います。


間に人を立てて話あいをした方がすんなりと行くと思います。と、助言させて頂き、お互いに第三者を立てた話し合いの場を設け
和解が成立。


ご両親にも打ち明けたそうで、遠路ご両親がお礼に見えられた際、お墓の件でご依頼下さり、解決しました。


眼に映った過去に起きた出来事や風景など、ご依頼者に関係ない物は視えません。音に関しても同じ・・・


これらは根源追究、原因解明の通過地点の一つに過ぎません。全ての事柄が後に一点に集まり、根源解明に結びついて行きます。


後編、心霊写真にまつわる出来事へ・・・


本当に起きた心霊現象へ


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